SRID  Journal  第12号




SRIDジャーナルとは


「SRIDジャーナル」は、国際開発のあり方、進め方について、斬新で面白く、知的で革新的な考えとアイディアをブログのような形で、世界に向けて発信していこうとするものです。学術論文集を目指したものではなく、SRID会員と友人達のアイディアを広く提供することが一番大きな目的です。内容は論説、提言、書評、エッセイ、フォーラム、等々何でもありです。日本と世界の識者の間で共有していただければ望外の喜びです。この趣旨に共感される読者からの投稿も歓迎いたします。年に2回という限られた発行ではありますが、人々の心に共感と明日への希望を与えられるように、努力して行きたいと思います。


2016年の最大のニュースは前半の6月、イギリスの国民投票の結果、大方の予想に反して、EU離脱派が勝利したことと、後半の11月、アメリカの大統領選挙において、当初は泡沫候補と言われたトランプ氏がメディアの予想を覆し、クリントン氏を破って大統領に決定したことです。この二つの投票結果のビッグニュースが世界に大きな衝撃を与えました。メディアの予想が何故間違ってしまったのかが話題になりました。異色の大統領と言われるトランプ氏が今後、アメリカの政治を「アメリカ第一主義」で舵をとるようになると、アメリカが、中東が、欧州が、そして南シナ海がどのように変化するのか、世界が固唾を飲んで注目しています。第12号は、これから起こりうる多様な開発課題の変化の多様性に着目しました。


途上国アルバム(中沢賢治)

キルギス・イシク・クル湖と天山山脈 ウズベキスタン・タシケントのプロフ鍋 タジキスタン・フジャント空港にて

巻頭エッセイ

国際開発の第三期が始まる!:多様化する国際開発の展開

高橋一生

リベラルアーツ21 代表幹事


1940年代末に国際社会に新たな分野として登場して以来、国際開発は、これに対する賛否両論を抱えつつ、かつ成功と失敗を織り交ぜながら、国際社会の大きな柱として展開してきた。この70年近くになる歴史も、今新たなチャプターを捲ろうとしている。第一期は冷戦という枠組みの中で発展してきた国際開発、第二期はグローバル化する社会を背景として新たな相貌を見せた国際開発。そして、今、あたかも19世紀後半の主権国家全盛期へ先祖がえりし始めるのか、とも思える状況が国際社会を覆い始めようとしており、そこでは、これまでとかなり異なる国際開発が展開し始めようとしている。


Ⅰ 冷戦と国際開発

第一期である最初の40年近くは冷戦の真っただ中で、当然のことながら冷戦との関係が極めて緊密な国際開発の展開が見られた。国家政策のレベルから、プロジェクト担当まで、冷戦意識の強弱に差こそあれ、この大状況の一環として国際開発は展開してきた。西側諸国の国際開発が中心で、それにソ連の国際開発が対抗するという図式であった。DACが政治枠組みと密着したシステムを形成し、ブレトン・ウッズ機関は西側の旗艦の役割を果たし、オペック援助はそれを補完する役割を果たしていた。この時期、国連のメンバー構成が途上国の絶対多数化が進むにつれ、総会における途上国の数の力を通じてシステム全体が援助機関化した。冷戦からの中立性を目指しながらも、国連システムは実質上、西側の開発協力の補完機能以上のことは政治・財政的に不可能であった。


--> 続きを読む



SRID内検索