SRID  Journal




SRIDジャーナルとは


「SRIDジャーナル」は、国際開発のあり方、進め方について、斬新で面白く、知的で革新的な考えとアイディアをブログのような形で、世界に向けて発信していこうとするものです。学術論文集を目指したものではなく、SRID会員と友人達のアイディアを広く提供することが一番大きな目的です。内容は論説、提言、書評、エッセイ、フォーラム、等々何でもありです。日本と世界の識者の間で共有していただければ望外の喜びです。この趣旨に共感される読者からの投稿も歓迎いたします。年に2回という限られた発行ではありますが、人々の心に共感と明日への希望を与えられるように、努力して行きたいと思います。


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途上国アルバム(中沢賢治:タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス共和国)

ドシャンベの市場 サマルカンドのレギスタン広場 イシククル湖南岸の山と渓谷 羊のいる草原

巻頭エッセイ

人新世におけるグローバル・コモンズ

石井菜穂子

Global Environment Facility (GEF) 事務局長


地質学者たちは、我々は完新世(Holocene)を去って、人新世(Anthropocene)という新たな地質時代に入ったと議論している。人類が登場して初めて、地球システム(生態系や気候制度)の機能に支配的な影響を及ぼす時代になったという意味である。これまでは、人類の活動が地球システムに与える影響は限定的であった。地球は大きく人類は小さかったのだ。しかし産業革命以降、特に前世紀の半ば以降、経済活動は加速化し、地球システムの機能に大きな負荷をかけるようになった。それでも1980年ごろまで、地球システムはレジリアンス(回復可能性)を示していたが、世界中で起こっている異常気象、水につかったベニスや燃え盛るオーストラリアの森林など最近の諸現象は、地球の回復力が限界に達していることを示している。我が国でも異常気象によって多くの人命が喪失されたばかりである。


人類はまた、生物多様性を異常なスピードで損ないつつある。1970年以降60%の生物多様性が失われた。気候変動と異なり、生物多様性の喪失は、その深刻かつ思いがけない影響が顕れるまで、日常生活の中で実感されることはない。しかしその予測できない結果を我々が知るようになったときは――蜂がいなくなってそれまで花粉を仲介されていた穀物ができなくなったとか――既に遅いのである。生物多様性がサイレント・キラーを呼ばれる所以である。


科学者たちは、地球システムを支える幾つかの重要な構成要素(サブ・システム)に着目している。洪水や旱魃で人々が注目するようになった「気候システム」はその最たるものであるが、「生物多様性」(そしてそれを支える熱帯雨林)、「土壌」、「海洋」、「燐や窒素の循環」などが、人間の発展を支える地球システムの重要な構成要素である。科学者たちは、こうした重要な構成要素の多くで(特に気候システム、生物多様性、土壌、化学物質において)、我々は地球の限界を超えつつあると警鐘を鳴らしている。


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