国際開発研究者協会 SRID キャリア開発編集部

SRID キャリア開発 No.11

September 2026

career@sridonline.org

国際会議で発言する若者たち

写真:World Bank

SRIDは、国際開発関連機関(国際機関、政府機関、NGOs・NPOs、コンサルタント企業等)への就業志望者を支援するキャリア開発事業を実施しています。その一環として、国際開発関連機関に勤務経験のあるSRID会員の知見を活かし、キャリア開発に関する有益な情報を提供するため、『SRIDキャリア開発』を3月と9月に配信しています。第11号では、2026年6月に開催された第1回SRIDキャリア開発フォーラムの講演要旨と、『ミャンマー、優しい市民はなぜ武器を手にしたのか』(西方ちひろ著、ホーム社)の紹介を掲載しました。

アフリカを中心とした海外と関わるキャリア形成について
―特定のポジションにこだわらない関わり方

三戸俊和氏

三戸 俊和
環境省でグリーン購入法や外来生物法の策定に携わった後、カナダで修士号を取得し、国連開発計画(UNDP)ルワンダ事務所に勤務。UNDP退職後もルワンダに合計約9年間滞在し、キガリの廃棄物処分場改善(福岡方式)、アスベスト対策国家戦略の策定、農業・工芸・教育支援など幅広い活動を展開。現在は北九州産業学術推進機構(FAIS)GX推進部長(産学連携担当部長兼務)として産学連携(AI・風力人材育成分野等)を推進するほか、NPO法人Solid Waste Management Adviser’s Network Fukuoka(SWAN-Fukuoka)シニア・アドバイザーとして、UN-HABITAT等とアフリカ各国の廃棄物処分場改善にも従事。北九州市立大学特任教授を併任。

本稿は、2026年6月16日にオンライン(Zoom)にて開催された第1回SRIDキャリア開発フォーラムにおける三戸俊和氏の講演に基づき、同氏ご執筆による要旨を掲載したものです。

講演要旨

まず自己紹介で、環境省からカナダ留学、内閣官房と経験した後に、アフリカのルワンダに移り、ゴミ問題を中心とした環境問題に関わったこと、その後に日本に戻り、アフリカでの活動を継続しつつ、北九州のグリーン・トランスフォーメーション(GX)などに取り組んでいるという、これまでのキャリアの全体像を説明させていただきました。

環境省からカナダに留学した際には、もともと関心のあった発展途上国で活動したいという思いが、アフリカからの移民などが大変多いカナダで、アフリカで活動したいという思いに具体化したことをお話しさせていただきました。

一度帰国し内閣官房に勤務した際にJunior Professional Officer(JPO)に応募し、2007年にルワンダの国連開発計画(UNDP)に派遣されることとなりました。ルワンダは1994年に国民同士の虐殺を経験しており、国連スタッフについても優秀な人材が当時失われ、組織運営に課題がある状況ではありましたが、他のアフリカ諸国と比べて汚職が少なく、また、環境意識が高い国民性があり、充実した仕事・生活ができたことで長期滞在をすることになりました。ただし、国連職員のままルワンダに長期滞在することは難しく、滞在2年半後の2009年秋に、派遣元の環境省と国連を退職し、ルワンダに残ることとしました。

ルワンダの滞在は、2016年までの9年間続きました。当初はUNDPのコンサルタントとして勤務していましたが、その後、フリーランスとして無償活動をしたり、ルワンダの私立大学で講義を任されたり、ルワンダ政府の住宅局に雇われたり、さまざまな立場になりましたが、活動を継続しました。ルワンダでは、日本の高度成長期に開発され、廃棄物最終処分場の維持管理を比較的安価・簡易に可能とする「福岡方式」を首都キガリの廃棄物最終処分場に導入したり、ルワンダの古い建物に使われていたアスベストを適正に除去する国家戦略と技術マニュアルを作成し、そのマニュアルを地元の技術者数千人に指導したりしたことを説明しました。なお、福岡方式の適用については、日本政府が提唱し立ち上げたAfrican Clean Cities Platform(ACCP)に沿って、引き続きアフリカの都市に対して指導を続けています。

プライベートでは、妻と一緒に、南洋油桐(Jatropha)の実証的植林をルワンダの西州を中心に行い、各自治体の協力を得て3,000本ほど植林し、環境適性や生産性について検証を行いました(結果は、ルワンダでの生育は簡単ではないというものでした)。

改善前のキガリ廃棄物処分場

2009年11月 プロジェクト前

改善後のキガリ廃棄物処分場

2010年1月 プロジェクト後

ルワンダ・キガリでの既存廃棄物処分場の改善。当初は資材調達が間に合わず、人力・水なしで消火活動を開始。徐々に現地スタッフの賛同を得て、約半年後には、現地スタッフが自力で消火活動を行うまでに改善。写真:三戸俊和
キガリの廃棄物処分場で作業する三戸氏
プロジェクト現場で自ら作業する筆者。写真:三戸俊和

2016年には、エチオピアでUN-HABITATによる廃棄物最終処分場の改善事業がすぐ始まるとの説明を受け、一時的に日本に帰国しました。しかし、事業開始は2018年まで遅れたため、北九州産業学術推進機構(FAIS)という北九州市傘下の組織で、人工知能や洋上風力人材育成、GXの推進などに係る産学連携を推進することとなりました。もともとは、「特定の分野(自分の場合は環境問題)に専念したキャリアが大事」という立ち位置でしたが、北九州の仕事を経験して、仕事で関わる分野を広げることにも学びが多いことをお話しさせていただきました。

一連のキャリアの実績を説明させていただいた後、これまでの経験での学びなどをお話ししました。例えば英語については、ネイティブ・レベルを目指すなら大学くらいまでには英語に触れた生活を始めないと難しいと思う一方、国際的な仕事で求められるレベルはそこまで高くないこと、ただし、生成AI(人工知能)などの発達で、これから日本語以外の外国語を学ぶ必要があるのかはそもそも分からなくなっていることや、そうはいっても現地に入った際に少しでも現地語が話せると地元の住民との関係構築が円滑になることなどを話しました。

現場の活動を行う際の判断材料としては、データは大事だがデータは必ずしも現場の実態を正確に表していないこと、政策や法制度は実行力を伴わないものだとかえって市民の信頼を損なうものであること、短期間にコストがかからないと思われる事業でも、長期的には逆に余計なコストがかかってしまう場合があること(例:キガリには重機を修理できる工場が当時なかったため、新しい重機を買うよりは少し高額でも重機をリースして、オーナーに故障した重機を直させた方が現場で役に立ったこと)などをお話しし、現場の肌感覚が大切であることをお話しさせていただきました。

ただ、近年の急速なAIやドローンの発達で、現場の把握の仕方が今後変わる(より詳細な現場把握のチャンス)かもしれないという点も指摘しました。

教育としては、自分は理系・技術系のことは学んでいないが、現場のニーズに応える形でさまざまな経験をし、最低限の技術等を得ており、そういったことを好奇心をもって楽しむことが大切ではないかとお話ししました。

また、「公」と「民」の役割分担がどんどんボーダーレスになっており、これからキャリアを積む方々はどちらかにこだわる必要はないのでは、と指摘しました。

社会人からの転職については、「いつまででなければ遅い」ということはなく、好奇心を幅広くもってアンテナを広げれば、さまざまな機会が出てくるのではないかとお話ししました。

ちょっとだけ背伸びをして新しいことに挑戦する精神として、「カサブタ外縁アプローチ」も紹介させていただきました。カサブタの中心は剥がすと出血してしまうので避けてよいが、カサブタの周辺の新陳代謝が進む、ちょっと痛痒いエリアが自分のキャリアにとって何かを考え、そこに挑戦するのがよいのでは、という意味です。

さらに、人を説得し行動変容を促すには、1)理屈・筋と、2)情熱に加えて、3)(当事者にとっての)短期的な見える利益を示すことが大事だというのがアフリカ滞在時の気付きであり、実はこれは日本も同じことと理解するようになったとお話ししました。

アディスアベバの最終処分場で現地スタッフと撮影した集合写真
首都Addis Ababaでの最終処分場改善:現地スタッフとともに(現地スタッフにはwaste pickersで、親族が崩落被害に遭った人もいる)。写真:三戸俊和

なお、2008年にルワンダで大きな交通事故に遭うなど、フィジカル・メンタルの両面で何度か困難はありましたが、どうせ最後は死んでしまう人生だったらできるだけ社会に貢献しようという意気込みで活動してきたことを説明するとともに、周囲の理解とサポートに感謝したいことを指摘しました。

また、ある程度鈍感でいることが、特定のグループに帰属せず、さまざまな人と友好的に過ごせる秘訣かもしれないと指摘した上で、人とのつながりがキャリア・人生のどこで活きてくるか分からないので、人とのつながりを大事にしてほしいと話しました。

最後に、今、日本人に求められている大きな課題として、1)前に進むための建設的な議論を、時間軸・空間軸(例えば今の取り組みが将来世代に与える影響を考える時間軸や、アフリカや中東と日本の関係を考えることのできる空間軸)を広くもって行える人を増やすこと、2)失敗を恐れず、むしろ失敗を褒めるAgile的な思考を尊重すること、3)新しいことに挑戦する人を支えるような、変化を促すための社会保障制度の充実が必要であることを私見として述べさせていただき、参加者のキャリア形成を通じて、このような社会の形成を一緒に進めていくことができれば、と指摘してお話を締めくくらせていただきました。

私のそれぞれの活動では目に見えるような大きな成果が出ているわけではありませんが、新しいキャリアに挑戦することがそれほど怖くはない、ということがメッセージとして伝われば幸いです。これからのキャリア形成は、AIの発達などでこれまでとまったく違うものになってしまうかもしれませんが、ぜひ新しい時代の可能性に期待しつつ、一緒にさまざまな社会問題に挑戦できればと思います。

ミャンマー、優しい市民はなぜ武器を手にしたのか

2021年のミャンマー国軍クーデターに抗議する市民
The photos were recorded during 2021 protests in Myanmar against the coup. 写真:Maung Sun - Own work, CC BY-SA 4.0

ミャンマーの民主勢力をビジネスを通じて支援している友人から、『ミャンマー、優しい市民はなぜ武器を手にしたのか』(西方ちひろ著、ホーム社)という本を紹介され、読みました。

クーデターを企てた軍事政権が、銃口によって民意を圧殺し続けているミャンマーの実情を知りたいと思い、私はこれまで、ミャンマー情勢に詳しいジャーナリストや研究者を招いたSRIDの勉強会にも参加してきました。そこでは一定の知識や情報を得ることはできたものの、いつもどこか問題の本質を十分に理解できていないと感じていました。

しかし本書を読むことで、ウクライナのような国際的な軍事・経済支援もなく、孤立した状況に置かれながらも、なぜミャンマーのごく普通の若者を含む多くの人々が、圧倒的な武力を持つ軍政権に抵抗し続けられるのか、その理由が少し理解できたように思いました。

本書は、政治学者や歴史学者による学術書でも、プロのジャーナリストが多様なニュースソースを駆使して書き上げたドキュメンタリーでもありません。主な情報源は、著者と同世代の職場の同僚とのテキストメッセージのやり取り、街で出会う若者たち、路上で花を売る商人など、ごく普通の人々との日常の会話です。著者が自分とミャンマーの友人・知人たちの安全を考慮し、偽名で発信し続けたSNSのブログを基にまとめられています。

専門書ではありませんが、著者がイラストレーターの協力を得て作成した、ミャンマー紛争の歴史や政治状況を解説するイラストは非常に分かりやすく、小学校の教科書にも採用されているほどです。これは、著者自身がミャンマー問題を丁寧に学び、深く理解していることの証だと感じました。

では、なぜこの本はこれほど説得力を持つのでしょうか。それは、著者が「これはあくまでミャンマーの人たちの本だ」という思いを持って執筆しているからだと思います。

援助機関やNGOの職員が開発途上国の問題に取り組む際、私たちは知らず知らずのうちに、「支援する側」と「支援を受ける側」の間に見えない線を引いてしまいがちです。そして、支援する側の立場から、何かを「与える」視点で関わってしまう傾向があるのではないでしょうか。

しかし本書における著者の視点は、支援する側の視点ではありません。長い闘争の末に獲得したものの、再び失われてしまった自由を取り戻すために戦っている、ミャンマーの人々自身の視点に立っています。ミャンマーの人々と完全に一体化することはできないというもどかしさを抱えながらも、彼らに寄り添い、彼らの苦悩や希望を、彼らに代わって、彼らを孤立させないよう日本の読者に伝えようとする著者の強い思いが伝わってきます。

残念ながら、世界銀行の報告書によれば、ミャンマーを含む21か国が紛争国であり、さらに17か国が制度的・社会的に脆弱な状態にあるとされています。これらの国々では民主主義が確立されておらず、国民の自由が十分に保障されていません。中には、独裁政権が力によって国民を支配している国も少なくありません。SRIDキャリア開発の読者の中にも、将来、開発の仕事でそのような国々で働く人がいるでしょう。

本書で示されている著者の視点は、そのような国々で働く援助機関やNGOの職員にとって、非常に重要な示唆を与えてくれるものだと思います。政治の問題も、開発の問題も、あくまで主役はその国に生きる人々です。私たちは主体にはなれないというもどかしさを感じながらも、支援者の視点からではなく、現地の人々に寄り添い、彼ら自身による問題解決を可能にする方法を模索し続けなければならないのではないでしょうか。

私はこの本を、開発援助に携わるすべての人に、ぜひ読んでもらいたいと思っています。

Toolbox:Appsを使って第二外国語学習を始めよう!

国際機関で仕事を探すなら、英語はもちろんですが、フランス語、スペイン語などの第二外国語は大きな武器になります。

また、必ずしも業務で使えるレベルまで到達しなくても、インドネシア語やアラビア語など、長期滞在したり、出張で頻繁に訪れたりする国の言葉を少し知っているだけで、いろいろ役に立ちます。例えば、現地の人と直接話すことで、IMFの統計や世銀のレポートだけでは見えてこない、その国の「本当の姿」に触れられることもあります。

「第二外国語をマスターした方がよいのは分かっている。でも、そんな時間はない」。そんな方に、私がお勧めしたいのが、スマホの語学Appsです。

仕事ではあまり使う機会がありませんでしたが、趣味のトレッキングでPatagoniaを訪れたとき、「今度来るときはスペイン語を話せるようになりたい」と思いましたが、実現しないままでした。そんな時、友人から無料のApp、Duolingoを教えてもらい、さっそく試してみましたが、これがなかなか面白い。

Duolingoはよくデザインされていて、少ないボキャブラリーと簡単な構文を繰り返しながら、非常にゆっくりとレベルを上げていきます。そのため、「前のレッスンから急に難しくなって、もう付いていけない」という感じがありません。

そして何より、1レッスンが10分以内で終わるのがよい。週末のテニスの後にシャワーを浴びて、生ビールを飲みソファにひっくり返り、「今日はもう何もしたくない」という時でも10分ならできます。待ち合わせに相手が遅れてきた時やフライトが遅れた時も、「なんで遅いんだ!」とイライラする代わりに、スペイン語を勉強できます。

これまでも、Babbelという有料プログラムを試したことがあります。こちらもよいプログラムでしたが、お金を払ったにもかかわらず、残念ながら続きませんでした。結局、語学学習で一番大切なのは、「どのプログラムが一番優れているか」ではなく、「自分が続けられるか」なのかもしれません。どのプログラムがよいかは、その人の目的や好みによります。

ですから、いろいろなプログラムを試してみることをお勧めします。有料プログラムでも、ほとんどの場合、無料のお試し期間があります。そして、「これなら続けられそうだ」と思うものを選べばよいと思います。

もちろん、日常会話レベルの外国語ができるだけで、国際機関の業務ができるわけではありません。しかし、日常会話レベルでも、基礎があるのと、まったくないのとでは大違いです。特に、入りたい国際機関や移動したいポストの必要要件に第二外国語がある場合は、「今はまだ十分ではないから……」と諦めるのではなく、とりあえず「できます」と申告してしまい、その後、猛烈に勉強するという方法もあります。必要なのは「完璧になるまで待つ」ことではなく、「必要になったら、何が何でも間に合わせてしまう」ことなのだと思います。まずは今日、10分だけ第二外国語学習を始めてみてはいかがでしょうか。10分なら、「忙しくてできない」という言い訳も、さすがに少し苦しくなります。

SRID キャリア開発フォーラム

SRIDは、無料の「キャリア開発フォーラム」をZoomにて開催しています。本フォーラムでは、国際機関、政府機関、開発コンサルティング企業、NPO・NGO、大学などで活躍してきた、もしくは今後活躍する予定の実務家を招き、「やりたいこと」をどのように仕事として実現してきたのかをお話しいただきます。

本号で紹介した三戸俊和氏の第1回に続き、第2回キャリア開発フォーラムは、2026年10月20日20時~21時30分に開催します。

本フォーラムには、SRIDキャリア開発事業が隔年で開催しているIDPC・国際開発プロフェショナルコース(次期開催は2027年秋の予定)の第2期生で、SRID会員のLi Chen-Wei(李晨瑋)氏をお招きします。Li氏は台湾ご出身で、東京工業大学(現東京科学大学)に留学され、開発コンサルティング企業アルメックで交通専門家として10年間実績を積んだ後、ADBへの採用が決まり、本年11月にADBマニラ本部に赴任される予定です。本フォーラムへの参加を希望される方は、申込フォームよりお申し込みください。

SRID キャリア開発カウンセリング

SRIDでは、進路相談、留学準備、国際機関への応募方法、CVの書き方、インタビューの受け方、要求される能力、採用後のキャリア開発の悩み事等について助言する無料カウンセリングを行っています。SRIDホームページの申請フォームからお申し込みください。

入会のお誘い

SRIDでは新規会員を募集しています。興味のある方は入会のご案内をご覧ください。会員になることで、さまざまなイベントを通じて、国際開発関連機関での勤務経験を有するSRID会員とのネットワークを広げることができます。

さらに、SRIDのウェブサイトに設けられた会員限定エリアでは、過去の国際開発プロフェショナルコース(IDPC)の講義や、国際機関で活躍する現役職員の経験をまとめた動画など、貴重なコンテンツにアクセスすることが可能です。

また、懇談会やフォーラムをはじめとするSRIDの各種活動はオンラインで実施されており、世界中どこからでも参加できます。時差やご都合により当日参加が難しい場合でも、後日アーカイブ動画をご視聴いただけます。

年会費は、社会人3,000円、大学院生2,000円、大学生1,000円と、非常にリーズナブルな設定となっています。

編集後記

今年のワールドカップを見ながら感じたのは、サッカーの戦い方とキャリア開発には「攻めなければ勝てない」という共通点があるということです。

サッカーでは、シュートがゴールにつながる確率がある程度推定できます。成功確率が10%なら、10本打てば1点、20本打てば2点という具合です。もちろん現実はそう単純ではありませんが、シュートを打たなければゴールは生まれません。前半にブラジルから先制した日本も、後半は守勢に回り、防戦一方となりました。リードを守るだけでは流れを引き戻すことは難しく、攻め続けることの大切さを改めて感じました。

優勝したスペインのような強いチームは、ボールを保持し、パスをつなぎながら、勝負どころで鋭いシュートを放ちます。そして攻めるためには、まずボールを奪わなければなりません。相手にプレッシャーをかけ続け、ミスを誘い、ボールを奪って攻撃へ転じる。その粘り強さが強さの土台になっています。

これはキャリア開発によく似ています。留学で専門性や語学力を磨き、新しい仕事やインターンシップを通じて開発途上国の実務経験を積む。こうした努力はすべてシュートを打つための攻めと言えるでしょう。サッカーのシュート同様、国際機関のポストへの応募は、一発で決まることはまれで、採用されないことの方が多く、何回も挑戦しなければなりません。

もちろん、いつも美しいクリーンシュートが決まるわけではありません。泥だらけになりながら押し込んだゴールでも、世界を沸かせるMbappéのスーパーゴールでも、スコアボードに刻まれるのは同じ「1点」です。大切なのは、まずシュートを打つことです。また、挑戦を続けていれば、思いがけないチャンスが足元に転がってくることもあります。キャリア形成にも、そんな幸運が訪れることがあります。

攻めるためには走って相手にプレッシャーをかけ、時には体を張ってボールを奪うことも欠かせません。ただし、プレーヤーが90分間ずっと全力疾走しないように、長いスパンのキャリア形成も気力だけでは走り続けられません。自分の能力や経験と目標との距離を冷静に見極め、限られた時間や資金をいつどのように使うかも大切です。

キャリア形成には数え切れないほどの可能性があり、誰にでも当てはまる正解はありません。迷うのは当然のことです。そんな時は、ぜひSRIDキャリア開発事業の扉をたたいてください。私たちが皆さんに代わって「正解」を用意することはできません。しかし、長い間フィールドに立ち、走り、多くのシュートを打ってきた経験があります。その多くは、華麗なクリーンシュートではなく、泥だらけになりながら押し込んだ1点だったようにも思います。だからこそ、成功だけでなく失敗も含めた経験を皆さんと共有し、一人ひとりの希望や強みを活かしたキャリアを、一緒に考えていきたいと思っています。

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