国連改革及び世銀改革と採用への影響
国連改革 UN80 Initiative
2026年1月、国連のグテーレス事務総長は、加盟国に通常予算の支払い義務を完全かつ期限通りに履行しなければ、国連は7月には財政崩壊するリスクがあるとの警告を出し、未納金の速やかな支払いを要請した。
2025年末現在、加盟国の通常予算負担金の未払い金は米国を筆頭とし、15億7千万ドルにのぼると報告されている。国連は、安全保障、難民保護等の人道支援に加え、加盟国の要請に応じ Sustainable Development Goals(SDGs)の実施、気候変動対策、COVID 19 等の感染症の予防等の国際的公益の実現のために、増加し続けるマンデート(任務)に対応してきており、国連の財政不足は恒常的なものであるといえる。
このような恒常的な財政不足が財政危機までに悪化したのは、近年の米国政府の多国間協調より国益を最優先する対外政策の大幅な転換がその背景にある。
米国はこれまで国連のトップドナーとして、通常予算の22%、任意拠出金の23%程度を負担してきた。しかし、近年国連への関与を根本的に見直し、財政的支援も減少させ、2026年1月に WHO から脱退し、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)からの離脱を表明した。更に、31の国連機関・条約及び35の非国連機関(計66の国際組織・条約)からの脱退を指示する米国大統領覚書が署名された。
対象の機関・条約・委員会は、国連経済社会理事会(UN Economic and Social Council- ECOSOC)、国連貿易開発会議(UN Conference on Trade and Development - UNCTAD)、国連人口基金(UN Population Fund - UNFPA)、国連大学(UN University-UNU)、国連居住計画(UN Human Settlements Program-UNHABITAT)、国連女性機関(UN Entity for Gender Equality and the Empowerment of Women-UNWOMEN)等である(2026年1月大統領覚書)。
脱退が表明されていない国連機関でも、米国の国益への貢献度により、任意拠出金が減額される国連機関もある。
2025年3月、上述の危機に対応するため、グテーレス国連事務総長は、国連創設80周年を見据え、国連改革(UN80 Initiative)に取り組むことを発表した。同改革は、単なる財政改革ではなく、多岐に渡るマンデート(任務)を見直すとともに国連の組織構造改革(国連本部等の事務局の機能、100を超える国連関連組織)やプログラムの再編成を通じ、国連システム全体が、世界の変化に適応し、より効率的・効果的に加盟国から要請されるマンデートを達成できる体制を整える事を目的としている。
2026年以降は、行政手続きの合理化や重複業務の削減等を含む初期的な改革措置が国連の予算にも反映されつつあり、段階的に実施されている。具体的には:
(1)一部本部機能の移転
一部機能を、本部がある物価の高いニューヨーク(NY)やジュネーブから、低コストのボンやマドリッドに移転する。人事や財務などの管理業務は NY とバンコクの拠点に集約し、現在8拠点で行っている給与支払い関係の業務は NY、ナイロビ、エンテベ(ウガンダ)の3拠点に移転する。
(2)多数の組織の統廃合・機能再編
- UNHCRやIOMなどを統合し、「国連人道対応・保護機関(仮称)」を新設。因みに、UNHCRは、2026年予算の対前年比約6%削減、南部アフリカ局の廃止、約4,000人の削減等を予定。
- UNICEFと統合が決まったUN Women・UNFPAはナイロビへの移転が決まっており、既にスタッフが移動を始めた。
- UNAIDS(UN合同エイズ計画)を廃止し(2026年末)、他の国連開発システムに吸収(2027年)。
- 国連社会開発研究所(UNRISD)を国連大学(UNU)に吸収。
- UNDPとUNOPSの統合。
- 国連経済社会局(DESA)、UNCTAD及び国連の地域委員会のマクロ経済分析機能を統合。
(3)2026年度予算
UN80 Initiative の結果、2026年度通常予算は約34.5億ドルと、対前年比約15%の削減となり、事務職員の約19%に相当する約2,900人に及ぶ大幅な人員削減が見込まれている。
通常予算とは別の会計年度で独立予算が組まれている、UN平和維持活動については、2025年7月―2026年6月は、54億円と前年度予算56億円をわずかに下回る金額であった。
一方国連専門機関は主に加盟国の任意拠出金でファイナンスされる。米国が脱退もしくは、拠出金の削減を決定した専門機関は予算及び職員を削減する傾向にある。例えば、米国の撤退手続きが完了し、先行して改革を進めている WHO では2026年半ばまでに全職員数の約25%に相当する2,371名の人員削減が進行している。
世界銀行の改革
世界銀行グループ(IBRD, IDA, IFC, MIGA, ICSID)の運営は、世銀の株主により構成される理事会によって行われており、第一の株主は、16.9%を出資している米国である。国連の予算が、加盟国政府の拠出に依存しているのに対し、世銀は主要加盟国の出資金を背景に国際金融市場で債券を発行し資金調達していることと、米国が出資比率を下げると、近年国力を付けてきている中国が出資比率を増やし、影響力を高めたため、米国は今のレベルの出資比率を今後も維持するものと思われる。
筆頭株主の米国が支援を継続している世界銀行グループでも、現在大規模な改革が実施されつつある。2023年6月に就任した、バンガ総裁は世銀の戦略の見直しを行い、2025年度から、改革を開始している。
改革の背景には、途上国の開発ニーズは増大するにも拘らず、米国、日本、欧州等主要株主国の開発援助予算が、防衛予算の増加等のため、減少傾向にあることが挙げられる。このため、世銀としては、少ない公的資金でより大きな効果を達成する必要を認識している。
まず、資金調達面では、強固な財務基盤を活かし、AAAの格付けを保持しながら、国際金融市場からの資金調達の増大が図られている。
戦略面では、民間の活力を通じ雇用を創出し、経済成長、社会的平等、貧困の撲滅の実現を目指している。そのため、人的資本(保健・教育・技能)と基礎インフラ(エネルギー・交通・水等)の基盤整備、ガバナンスと規制環境の整備、民間資本の動員等を推進している。とりわけ、エネルギーのアフリカ地域での普及、アグリビジネス促進及び保健分野の改善が重点分野として選定され、2030年までの具体的な達成目標が設定されている。
これまでも世銀では、10年から15年に一度ぐらいのサイクルで、戦略の見直しが行われ、それに伴い機構と業務プロセスの改革が実施されてきているが、今回の改革では、以下の諸点が順次実施されている。
(1)業務の迅速化及び Decentralization
1)Country Partnership Framework 文書の簡素化により優先課題を明確化する。
2)Decentralization のさらなる推進により、より顧客に近く、顧客のニーズに沿った早い意思決定により、これまで19か月かかったプロジェクト組成を原則12か月に短縮し予見可能性を向上する。
世銀は、これまでも、Country Directors や業務スタッフを開発途上国に駐在させ、開発途上国政府との政策協議、投融資事業の組成をおこなってきたが、さらに、地域担当副総裁を地域拠点に駐在させるとともに、より多くの業務スタッフを開発途上国へ配置転換しつつある。
(2)One World Bank Group としてのインテグレーション、連携強化
世界銀行グループ間のシステム、財務やリスク管理を統合するとともに対顧客サービスの一本化を通じ、グループ間の連携の強化を図る。
(3)Knowledge Bank 機能の強化
Knowledge 分野は、Digital、Infra、People、Planet、Prosperity の部門に整理され、より実践的な分析やナレッジツールの開発を強化する。第一段として、世銀と IFC のインフラセクター部門の統合が開始されている。
UN や世銀での就業を目指す人が考慮すべきこと
UN の改革も世銀の改革も現在進行中であり、将来どのように職員採用に影響を及ぼすか正確に予測することはできないが、以下の点を十分考慮する必要があると思われる。
(1)開発援助を取り巻く国際情勢の変化の理解
国連、世銀等の国際機関に限らず、開発援助の分野でのキャリアを目指す人たちは、米国の対外政策の変更等急激に変化していく国際・経済情勢が、開発援助の資金量、担い手、重点分野に大きな影響(今後、どの組織、どの分野で、開発援助人材の需要が伸びるのか等)を与えることを認識し、関連情報をフォローする必要がある。
(2)新規採用の抑制または減少傾向
国連や世銀では、改革実施中は、必要不可欠なポジションや特定分野では採用が継続されるが、新規採用が抑制または減少する傾向がある。
国連の改革は、既に2026年度予算に反映されており、2026年秋の国連総会からグテーレス国連事務総長の任期が終了する、2026年12月までに大筋が決まり、2027年度予算に反映されると思われる。
国連事務局とは独立した国連専門機関においては、その数も多く、それぞれ、任意拠出国の合意も必要とされるため、改革の実施は、拠出国の合意と予算措置の取れた機関から随時実施されると思われる。
世界銀行では、長年広く活用されてきた Short-Term Consultant(STC)制度(年間150日以内の個人ベースの短期コンサルタント)が、2026年末(2026年12月31日)をもって廃止される。大半の STC は、Extended-Term Consultant(ETC 3か月から1年程度の契約)もしくは、Independent Contractor への転換が検討されている。最初から正規職員として採用されなくとも、パーフォーマンスが良い ETC コンサルタントが正規職員として採用されるケースもありうる。
(3)JPO ポジション等の日本政府支援の継続
日本政府が2年間給与を負担する国連 JPO、世銀 JPO および Mid-Career Program は継続されると思われるが、支援期間終了後、継続して勤務できるかどうかは、各組織の戦略や予算に基づく、人材の需要と本人の能力や専門性が考慮される。
JPO 志望者は、改革後の就業希望先組織の予算状況及び重点分野等を十分理解しておく必要がある。国際機関を目指す若手の人を対象とした説明会は、外務省国際機関人事センターによりオンラインと対面の両方で定期的に開催されている。世銀東京事務所も、JPO、Mid-Career Program に関する説明会を開催している。
確かに、競争率の高い国際機関の採用には、JPO 制度は、日本人にとっては、正式職員への登竜門として貴重な機会であり、躊躇なく挑戦すべきである。しかし、国際機関には、国籍に制限のない一般公募のポジションもあるので、JPO 以外にも、チャンスがあれば、果敢に挑戦して欲しい。JPO 制度のない開発途上国の人達は、自分の実力だけで国際機関に入っていることを忘れてはならない。
(4)途上国勤務の増加
国連、世銀とも、今後は、ニューヨーク、ジュネーブ、ワシントン DC 等の本部ポストより、開発途上国のポストが増える傾向にある。
また、採用後も複数の途上国の移動を繰り返すキャリアも想定される。勤務地の場所やローテーションのタイミング等を十分考慮し、ライフイベント設計をする必要がある。
(5)今後需要が増大すると思われる分野(民間の活力利用、技術革新の開発への適用)
公的援助資金の制約が強まる中、民間セクター(資金、アイデア、ダイナミズム等)の活用がこれまで以上に重要になると考えられる。具体的には、(i)民間投資を促進する制度づくり、(ii)民間企業を巻き込んだ開発事業、(iii)職業研修、起業家育成および、(iv)民間投資の基盤となる、経済インフラや教育・保健などの社会インフラへの投資。
したがって、民間セクター(商社、海外プロジェクト、国際金融、中小企業支援、マイクロファイナンスや起業等の草の根支援等)の経験は、開発分野でも評価される可能性が高くなるであろう。
また、AI をはじめとする技術革新の開発分野への活用も重要なテーマとなっている。国連では、AI の利用とプライバシー保護、軍事利用の規制など、国際的ルール作りの必要性も高まっている。
(6)引き続き重要な人道支援業務
世界では戦争や紛争、気候変動、自然災害による被害が拡大しており、女性、子供、病人等の社会的弱者を含む貧困層の生存、生活を圧迫している。難民支援等の人道支援に関する国連を中心とした、国際機関の役割は今後も重要と思われる。
しかし、人道支援業務を実施している The Office of the High Commissioner for Refugees(UNHCR)、International Organization for Migration(IOM, UN Migration)、United Nations Office of Humanitarian Affairs(OCHA)、World Food Programme(WFP)などで、人員が削減がされている。
例えば、難民支援を担当している、UNHCR の2026年度予算は、2025年度予算の$155.1百万ドルから6%減少し、$146.4百万ドルとなった。減少分は人員の削減及び、事務の合理化によるコスト削減で対処される。この分野における、各該当機関の UN80 Initiative の実施状況を注視する必要がある。
(7)国連、世銀で希望するポジションがすぐ見つからない場合の対策
1)国連、世銀以外の地域多国籍金融機関での就業を試みる。
高い成長の続くアジアでは、民間セクターを活用した投融資が活発であり、ADB は人材の採用を続けている。EBRD は東欧、旧ソビエト連邦諸国に加え、マグレブ諸国への事業の拡大を検討しており、仏語の能力があり、開発金融の経験のある人材が必要とされるであろう。日本人職員の少ない IDB、AfDB では西語、仏語が喋ることが出来る人には、チャンスはあると思われる。また、日本はメンバー国ではないが、世銀、ADB 等との協調融資等を通じて、業務を拡張している、中国が筆頭株主である、Asia Infrastructure Investment Bank(AIIB)は、日本人も含め、インフラ部門を中心に Investment Officer を募集している。これらの組織での経験は、将来国連や世銀に転職する際も、十分評価される。
2)民間セクター、留学等による、経験・能力の強化を図る。
国際機関で働くためには、専門的知識、実務経験、開発途上国での経験、語学力(英語+もう一言語が望ましい)が重要とされる。
希望する国際機関での採用機会が限られる時期は、民間企業や NGO への就業、国内外の学位取得等を通じてこれらの必要とされる能力を高める良い機会とも言えよう。
特に、開発に関心がある場合は開発コンサルティング会社、JICA の海外青年協力隊や日本の NGO、国際 NGO などで途上国の経験を積んでおくことが勧められる。UN Volunteer もある程度予算削減を余儀なくされているが、全く可能性がない訳でもないと思われるので、専門性と途上国勤務の覚悟があれば道は開かれる可能性はある。(キャリア開発編集部)
“責任ある積極財政”を発動して、国連で“咲き誇る日本外交”を!
女性の地位が世界146カ国中118位と、“後ろから数えた方が早い”日本で、まさかの女性総理誕生。しかもアメリカより先。正直、「え、日本ってそんなサプライズ出せたの?」というレベルの快挙だ。
「責任ある積極財政」、「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」。意味は不明だが、SNSでバズりそうなフレーズで、若い世代や「なんとなく現状にモヤっている層」の支持をつかんだらしい。
しかし、選挙で大勝しても、選挙で勝つことしか考えていない“世襲+裏金漬けおじさん多め”の与党では、日本経済再生の道筋は見えてこない。気づけば1人当たり国民所得は世界46位、「あれ、うちって先進国でしたよね?」と確認したくなるポジションにいる。ホルムズ海峡、台湾、半島情勢も気が抜けない。
そこで早苗さんに提案。次の国連事務総長(2027年以降)、日本が手を挙げてみてはどうか。
次回は中南米の番とされるが、「火中の栗」に加え、今の国連は“みんなで支える”と言いつつ、実際は“誰かが多めに払うシステム”。トップを出す=財布も出す、という暗黙の了解に、中南米各国も「今回は様子見で…」と及び腰の様子。ならばここは、例の「責任ある積極財政」をフル発動して、国連を舞台に「咲き誇る外交」を実演してみてはどうか。
日本は唯一の被爆国であり、憲法で戦争放棄を掲げる“平和ブランドの老舗”。アメリカが人道支援を削り、欧州もウクライナ支援で手一杯なら、「じゃあ次はうちが行きますか」と名乗り出る余地は十分にある。ここは、控えめに言ってチャンスだ。
やることはシンプル。世界平和、人道支援、ルールベースの自由貿易体制、気候変動対策、感染症予防などの国際的公益のために、お金も人も出し、誠実に働く。“働いて、働いて、働いて”——気づけば世界各国から「え、日本、めちゃくちゃちゃんと仕事するやん…しかも弱い者いじめもしないし……(尊敬)」と思われるポジションを確立する作戦である。
もちろん、国内の現実は甘くない。円安、米とガソリンを始めとする諸物価の高騰、少子高齢化、生活保護受給者や子ども食堂の増加……そして自然災害のデパート、膨らみ続ける国の借金。「え、国連向け ATM?財源はどうするの?」という声も、さもありなん。
そこで一案。武力衝突を誘発しかねない“抑止力強化”を名目に急膨張した防衛予算9兆円353億円/約600億ドルの一部と ODA と紛らわしい OSA(政府安全保障能力強化支援=軍事分野の支援。2026年度は前年度の2倍以上、181億円/約1.2億ドル)予算を米国が削った国連人道支援(約10億ドル)に回してみてはどうだろう?
さらに、ドイツにも資金協力を呼びかけ、二人三脚で念願の安全保障理事会の常任理事国入りを果たし、機能不全に陥っている安全保障理事会のオーバーホールもしてしまおう。
JPO 予算も大幅に増やし、SRID が支援しているやる気一杯の温かい心を持った日本の若者を大量に国連に送り込もう。
日本が防衛費を削減し、平和・人道支援・国際的公益の実現のためにリーダーシップを発揮すれば、国際的評価は確実に上がる。中国、ロシアや北朝鮮に対しても、「あの国、敵に回すと面倒くさい(味方が一杯いるぞ)」という、“別ベクトルの抑止力”が生まれる。
そして忘れてはいけないのが、日本のリアル事情だ。関税騒動、ホルムズ海峡封鎖で実感している通り、食料もエネルギーも海外依存の日本にとって、世界平和とルールベースの公平・互恵的な自由貿易体制は「理想」ではなく「死活問題」。つまり国連を通じた国際的公益の追求は、きれいごとではなく、日本の「ガチの生命線」を守る長期投資型の自己防衛である。これこそが、責任ある積極財政の Return と言えよう。
日本は「武器で稼ぐ国」ではなく、「平和で稼ぐ国」であるべきだ。これは、早苗さん、あなたの自民党の大先輩の考えでもある。「我が国は兵器の輸出をして金を稼ぐほどおちぶれてはいない。もう少し高い理想を持った国として今後も続けていくべきだ。」(宮沢喜一元首相が外相として行った1976年5月の衆院外務委での答弁)「時代は変わった」とあっさり切り捨てるのではなく、日本の本当の国益を考えて、考えて、考え抜いて、行動して欲しい。
早苗さん、次は国連のステージで、日本が世界相手に“ドラムソロ”を決める番です。期待していますよ。(鈴木博明)
Toolbox: AI を活用して「ATS-Friendly」な CV 作成
最近の採用活動では、“ATS(Applicant Tracking System)”と呼ばれるシステムが広く使われています。これは、企業や組織が応募者の履歴書(CV)を収集・スキャンし、選別・評価(順位付け)するためのソフトウェアです。特に国際機関や大企業のように応募数が非常に多い場合、人事担当者がすべての CV に目を通す前に、まず ATS が機械的にランク付けを行っていることが少なくありません。つまり、「まずは ATS を通過しなければ、人の目に触れない」という可能性があるのです。
ATS に強い CV を作るポイント
では、どうすれば ATS に評価されやすい CV を作れるのでしょうか? 最も効果的なのは、募集要項(Job Description)に書かれているキーワードを意識的に CV に盛り込むことです。
具体的なステップ:
- ChatGPT などの AI に募集要項を読み込ませ、重要なキーワードをリストアップさせる。
- 自分の CV を AI に読み込ませ、キーワードが十分に含まれているか確認する。
- 不足している部分を修正し、表現を改善する。
- 募集要項で求められている専門知識や経験のうち、記載漏れがないかチェックする。
このプロセスを何度か繰り返すことで、ATS との“相性”を高めた CV に近づけることができます。
大切なこと
AI は「募集要項と CV の間にあるキーワードのギャップ」を見つけることはできます。しかし、そのギャップを実際に埋められるかどうかは、あなた自身の経験やスキル次第です。
- すでに持っているのに書いていない場合 → ぜひ反映させましょう。
- 完全一致ではなくても、近い経験がある場合 → 表現の工夫で伝えられます。
- まったく関連する経験がない場合 → そのポジションは今の自分には合っていない可能性があります。その場合は、より自分に合ったポジションを探すか、不足しているスキルを補ってから再挑戦する方が、結果的に近道かもしれません。
また、「ATS に評価されやすい CV を作るための AI の活用方法を説明せよ」と AI に指示すれば、その他の AI 活用方を説明してくれるでしょう。ただし、最初から AI に頼るのではなく、CV の最初のドラフトは、よく考え、自力で書き上げてください。そのうえで、AI とコミュニケーションを取りながら、Draft を改善していくことが重要です。
まとめ
就職活動では、「良い経験、知識、能力を持っている」だけでは十分ではありません。それらを適切な言葉で志望先に伝えることが重要です。AI は、その伝え方を改善する強力なサポーターになります。うまく活用すれば、あなたの可能性を正しく評価してもらえる確率を高めることができるでしょう。ぜひ一度、AI を味方につけて、ATS-Friendly な CV 作成に挑戦してみてください。(キャリア開発編集部)
SRID キャリア開発フォーラム
SRID は、無料の「キャリア開発フォーラム」を Zoom にて開催します。本フォーラムでは、国際機関、政府機関、開発コンサルティング企業、NPO・NGO、大学などで活躍してきた実務家を招き、「やりたいこと」をどのように仕事として実現してきたのかをお話しいただきます。
第1回(日本時間6月16日午後8時―9時半)は、北九州産業学術推進機構(FAIS)GX 推進部長(産学連携担当部長兼務)/北九州市立大学 特任教授の三戸俊和氏をお迎えします。
三戸氏は環境省でグリーン購入法や外来生物法の策定に携わった後、カナダで修士号を取得し、国連開発計画(UNDP)ルワンダ事務所に勤務。UNDP 退職後はルワンダに約9年間滞在し、キガリの廃棄物処分場改善(福岡方式)、アスベスト対策国家戦略の策定、農業・工芸・教育支援など幅広い活動を展開しました。
現在は FAIS で産学連携(AI・風力分野等)を推進するほか、UN-HABITAT のコンサルタントとしてアフリカ各国の廃棄物処分場改善にも従事しています。
フォーラムの詳細のご案内および参加申込の受付は、5月に開始予定です。
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編集後記
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