2016年度活動計画

2016年度活動計画

 

(ア)  活動の抱負

<会長>

国際開発協力において、開発途上国を支援する政府開発援助が中心であった時代から、民間投資が大きな役割を果たす時代へと大きく変化した今日、SRIDはどのような役割を果たすことができるでしょうか?

 

日本の大学や企業では、「グローバル人材の育成」の必要性が叫ばれています。思えばSRIDは設立当初から、「グルーバル人材の集まり」として、活動をしてきたのではないでしょうか?その意味で、今更、「グローバル人材の育成」といわれても、すでにやってきたことなので目新しいことではありません。しかしながら、世の中がそのような人材育成を必要としているということは、大学や民間企業の多くが、これまで国際競争力を持って外国人と伍して働くことが出来る人材を十分に養成してこなかった、ということでしょう。その証拠に大半の大学生は、中学から高校と大学教養学部までの8年間、英語を勉強してきたはずなのに、まともに英語で外国人とコミュニケーションできる人が極めて少ないのが現状です。因みにハリウッド映画に出てくるアジア人はインド人、中国人、韓国人ばかりです。

 

最近では、相当数の大学が「グローバル人材育成」のために学生を1〜2か月海外に送りだしています。このような短期間の遊学で十分なコミュニケーションが身に付くでしょうか?せいぜい自分のコミュニケーション能力の弱さを実感し、「もっと勉強しなければダメだ」という動機付けには役立ってはいるでしょうが。(これが真のねらいかもしれません。)「異文化間コミュニケーション能力」とは単に言葉だけの問題ではなく、外国人の人格と異文化を尊重しつつ、意思疎通を円滑にして理解することが出来る能力を含んでいます。そのために、外国語は重要な手段となります。とりわけ、多国籍企業や国際機関の上級マネジャーになれば、多くの外国人スタッフを上手にマネージしなければいけませんし、また自分が生き残るための知識やノウハウも必要です。

 

多くのSRID会員は、国際開発協力の経験者として貴重な知識と経験を持っています。世の中が「グローバル人材」を育成するために、SRID会員が持っている知識や経験を求めている現在、このようなニーズに応えることは、SRIDが直接なしうる社会貢献ではないでしょうか?2016年からは、大来佐武朗先生が望まれていた、グローバルに活躍できる人材の養成に、SRIDが持っている能力を提供して社会貢献したいと考えます。(藤村)

 

<代表幹事>

昨年に引き続き代表幹事を務めさせていただく。2015年度は40周年を契機に会則を改正し、新たなSRIDの役割と可能性を求めて活動を行った。新規に3名の会員の参加、ニューズレターの充実などが実現したが、必ずしも大きな変化をもたらすことができなかった。他方、昨年は国際的にも新たな目標であるアジェンダ2030(ポストMDGs)の国連総会での採択、COP21による気候変動対策の新たな枠組みの合意が行われ、わが国においても21052月にODA大綱が開発協力大綱へと改訂され、国際開発にとって大きな節目の年であった。

 

今年度はこうした新たな状況を踏まえ、従来からの、懇談会、ニューズレター、懇談会、シンポジウム、サロンを通じた会員間の交流・意見交換の場をより良いものとするとともに、新たな活動として、学生部をはじめ学生諸団体の自主的な活動を支援するSRIDキャリア開発塾、学生の国際協力支援、国際機関勤務者の活動支援を柱とする国際協力人材支援事業の展開を始めていく。こうした活動を通じ、新たな会員の増加、会の活動の活性化に努める。なお、各活動のテーマの設定については、国際開発を広くとらえ、外交、エネルギー、貿易投資など周辺分野のテーマとの関連でも取り上げていく。(神田)

 

(イ)  活動方針

<総務>

  若手、女性を中心に会員の勧誘に力を入れる。

  他団体との連携によりイベントの拡充を目指す。

  毎月1回幹事会を開催し、議事録を会員に配信する。

  20171月に新年会を開催し、会員間の親睦を図る。(山下)

 

<広報>

  定期的にHPを更新し、ジャーナルを発行するほか、各種メディアによりSRID活動の全体的プロモーションを行う。

  SRIDのパンフレット・案内書の配布、幹事の名刺作成などを行う。(山岡)

 

<ニューズレター>

昨年度に引き続いて幹事会が企画・編集に加わり、年6回程度の発行を目指す。「自論公論」「旅の千夜一夜物語」「イベントの案内・報告」などの他、会員相互の情報交換や近況報告を兼ねて、より多くの会員に投稿を呼びかける。(山下)

 

<懇談会・シンポジウム等>

以下のテーマについて懇談会・シンポジウム等を企画・開催する。

・ 新たな開発協力大綱やアジェンダ2030SDGs)に基づく日本と国連・国際機関との開発協力の展開

・ 複雑化する国際情勢をめぐる外交問題等

・ その他、適宜会員の関心あるテーマ

また会員の勧誘を兼ねて、若者や女性に魅力を感じてもらえるイベントを企画する。

今井正幸会員が協力委員として上記の企画・開催を支援する。(鈴井・神田)

 

<他団体との連携推進>

SRIDと他の会や組織、学生グループ等と連携して活動の活性化を模索する(湊)

 

(ウ)  SRIDジャーナル

2016年度は藤村建夫委員長以下、浅沼信爾、高橋一生、福田幸正、湊直信、山岡和純の6名の委員が企画・編集を担当し、中島千秋会員が協力して、7月に第11号、1月に第12号を発行する。特集は編集委員会で決定するが、できるだけ国際開発の最前線のトピックを選定する。ポスト2015の「アジェンダ2030」はすでに国連フォーラムでも色々な人が提言を出しており、だんだん目新しさがなくなってきているのでもう少しホットなトピックを探して行く。内容として、若者がもっとも関心を持っているチャレンジングな課題や経験の交流として役立つものも取り入れて行きたい。ターゲットグループとしては、国際開発を学習している大学院生や研究者・実務者とする。この関連で、大学院生のゼミやグループの活動を紹介することも考えたい。(藤村)

 

(エ)  サロン

<サロンド・ミカミ>

主宰者である三上会員の都合を調整しながら、2か月に1度程度のペースで開催する。SRIDメンバーの他、外部からのゲストスピーカーも歓迎する。

<サロン・エカポール>

2016年度は、国際開発のフロンテイアで活躍されているプロフェッショナルを招き、SDGが掲げる課題を中心に、TICAD6を含め最前線の新鮮な話題を提供してもらうことにしている。ホストとゲストの都合で定期的に開催することは難しいが、年に23回開催する。また、他の関連するネットワークの若者とのサロンも検討する。(藤村)